産業保健師が、会社で働く従業員の方の健康を支えているということは知っているけれど、「健康を支える」というのは具体的にどんな仕事を行っているのかイメージがわきにくいですよね。
このサイトでは産業保健師が行う具体的な業務内容についてまとめましたので、ご参考になれば幸いです。
こちら記載していること以外にも業務は多岐にわたりますので、メインとなる仕事を書いています。
健康診断結果のフォロー/保健指導
産業保健師は健康診断の結果に基づき、従業員への保健指導を行います。
これは産業保健師の仕事の中で最も重要な仕事のひとつです。
働いている従業員には健康診断を受ける義務があり、会社には従業員に健康診断を受けさせる義務があります。
参考:労働安全衛生法に基づく健康診断の概要(厚生労働省)
産業保健師は、健診結果が良くなかった従業員と一人一人面談を行い、健康に向けた生活改善の助言を行います(保健指導)。その人の勤務形態や仕事内容等も考慮しつつ、何が起因して健診結果に異常をきたしているのかアセスメントし、「食事指導」「運動指導」を行い生活習慣を改善していけるようサポートします。
例えば・・・
在宅ワークになり家にいる時間が長くなったことで間食が増え、血糖値が昨年より高くなってしまった方に、その間食をどうしたら減らせるかご本人と一緒に考え、アドバイスを行います。
また通勤がなくなり運動量も減っているようであれば、今の生活リズムの中で実施できそうな運動を提案したりします。
通院し治療を行っている方には現在の状況を伺い、確実に治療継続できているか確認をします。
病院受診が必要な状態であるにもかかわらず放置している方には、受診勧奨を行います。
実施した保健指導はすべて記録に残し、管理します。
保健指導は正解のない仕事で、たくさん考え悩むので難しいのが本音です・・・。
安全衛生委員会の参加/職場巡視
安全衛生委員会は、労働者の安全と健康の確保に必要なことを調査審議を行う委員会です。
産業医や企業の衛生管理者などが出席し、保健師も加わります。
職場巡視を行い実際に作業環境を確認し、良い点や改善すべき点を挙げ、より快適な職場環境の形成につなげていきます。
法令で定められている基準を満たす事業所は、安全衛生委員会の設置が義務付けられています。
参考:安全委員会、衛生委員会について(厚生労働省)
セミナー、健康教育の開催
従業員へ健康に関するセミナーや健康教育を行います。
従業員がどんな健康情報を知りたいかを考え、予算や参加人数、日程などを検討し準備を行います。
例としては、熱中症対策やメンタルヘルス関連があがります。
新社会人になる新入社員向けに、”健康的な生活の健康講座”を行ったりもします(食事や運動、睡眠など)。
コロナウイルス感染症が流行してからは、集団にむけたセミナー開催が難しくなったことでオンライン上でセミナー動画を従業員にみてもらう形でも行ったりします。
セミナー後はアンケートを実施し、今回のセミナー振り返りを行、社員が知りたいと思っている健康情報を把握して次に活かしていきます。
人前に出て行う、学校の授業のような仕事なので結構緊張します。
どうしたら対象者が話に興味をもってくれるか、考えて計画する必要があります。
ストレスチェック/過重労働対策
ストレスチェックは50人以上の労働者がいる事業所では実施が義務となっています。
参考:ストレスチェック制度関係法令等(厚生労働省)
結果を管理・分析し、高ストレス者へのフォローや産業医面談の調整などを行っていきます。
また、時間外・休日労働が80時間/月を超え、疲労の蓄積が認められる労働者に対して、産業医との面談は義務となっています。面談調整やその後のフォローを行っていきます。
これらは企業内の人事や労務、担当部署との連携が重要になります。
産業医の意見が重要ですが、会社の生産性やご本人の意思も考慮した対応が必要なので一筋縄ではいかないこともあります・・・
社内で発生したけが等の応急処置
社内で発生した軽いけがなどの応急処置を行います。
学校における保健室のような立ち位置のイメージです。病院受診が必要なレベルであると判断したときは、緊急性に応じて受診を促します。
そのため緊急度合を判断するスキルが必要になり、専門的知識が欠かせません。
まとめ
今回まとめた内容以外にも、社内へ配布する「健康便り」であったり会社や従業員の方から受ける健康相談に対応したりなど、仕事は様々です。それらを通して、「従業員の健康を支える仕事」となります。
書類関連などの、事務的な仕事も多いです。
看護師から転職される方は、最初はデスクワーク作業に慣れずソワソワするかもしれないです(笑)
このサイトを読んで、少しでも産業保健師の仕事のイメージがつけば幸いです!
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